シゲの住林戦記

住友林業の敷居を跨いだ時、戦いは始まった

序章Ⅱ 住宅展示場での開戦

「住宅展示場」


住宅展示場に行くのは生まれて初めてだった。
購入を希望していた団地はハウスメーカーが決まっていたので、どこに入るかはあらかじめ数社に絞られていた。


その中で「住友林業」に最初に入ったのは訳があった。それは、最近住友林業が造成した団地に嫁の知人が居たためだ。


嫁はその知人の家を訪れ、いたく気に入り「すみりんえーなー」と言っていたためである。



「住林の営業マン 」


恐る恐る住友林業の展示場に入ると、木の温もりを感じる広い家であるこに感心したのを今でも覚えている。


実際私は古い家や木の家が大好きで、本気で古民家を買おうかと検討したこともあったほどだ。だから既に接触している「三井ホーム」よりも「住友林業」の方がなんとなく好ましかった。


ボーっと展示場を徘徊していると営業マンAが2階から降りてきた。
この営業マンこそ、ここから長きに渡り戦うことになる相手だった。


どのような家を探しているか、どのような土地を探しているか
またもや営業マンに良いように情報を吸い取られ、住友林業でまたもや土地の候補を選ぶことになった。


当時三井ホームとはサインも何もしていなかったが、土地の選択権はかなりあった、というか1番だったので選び放題だったのに対して、住友林業はあまり選択肢がなかった。少ない選択肢に私はすぐさま飛びつき、いつもは財布の紐が濡れた縄のように固い嫁も珍しくその気になって手付け金をその場で払ったのであった。



「最初の戦い」


住友林業に対する違和感は意外と早くやってきた
そう、展示場を訪れたまさしくその日、である。


他メーカさんの展示場は訪れたか?等と色々情報を探ってくるので隠さず「三井ホーム」と答える。その一連のやりとりの中で何を言っても「そうなんですよ」「そこなんですよ」と言う営業マンに対して三井ホームの担当と違い『軽いなぁ』というのが私のファーストインプレッションだった。


続いて住友林業の家がいかにに優れているかを一生懸命に説明する営業A


「BF工法は来る東南海地震で予想される揺れに対しても強いです。
 このようにxxガルという『速度』を試験場でかけても・・・・」


シゲ:「あの、ガルは速度では無く加速度でないですか???」
営A:「分かりやすく速度と言っています、そちらの方が説明しやすいので」
シゲ:「いや、加速度と速度は全く違う物です」
営A:「ご主人もしかして理系ですか?」
シゲ:「ええ、そうですが」
営A:「私理系の方苦手なんですよ~、言うことが正確で気を遣います」
シゲ:「はぁ、そうですか」


天下の住友林業の年上の営業マンは百戦錬磨で敏腕営業マンでいい人ばかり、と疑っていなかった当時の私は、この「間違いを押し通す」やりとりを余り気にとめていなかった。


しかし今思い返すと、まさにこの時この後長く続く戦いの火蓋が静かに切って落とされていた瞬間だったのだ。